白金色のしおり

「ご主人様はアトルガンからジュノとかその次の日はバストゥークだと思ったらサンドリアに帰ってきてるとか、まったく移動がせわしなくて仕方がないクポ」

ご主人様が留守の間、彼のお手伝いさんでありまた気の置けない同居人であるモグさんは、部屋の整頓に余念がないみたいです。

「荷物を片付けたりまとめたりするモグの身にもなってほしいクポ。…?」

おや? 床に何か落ちていますね。

「キレイなしおりクポ~。」

モグさんが拾い上げてみたそれは、プラチナの小片を薄く延ばしたものに、似た色のリボンを結びつけた、シンプルだけどちょっと豪華なしおりのようでした。

「なにか書いてるクポ?」

裏返してみると、びっしりとこまかく溝のようなものが刻まれています。
一瞬模様のようにも見えましたが、それは良く見ると何かに対する警句であったり、あるいはモグさんにも意味の分からない言葉など、それ自体が文書のようでもありました。


「ご主人様はほんとに、役に立たないけど面白いものを見つけてくるのが大好きクポねぇ」

一人で考えるのは無駄だと思ったモグさんは、そうつぶやくといつも机に置いてある日記帳を適当に開いて、しおりを挟んで閉じてしまいました。

「ご主人様が帰ってくる前にお夕飯の買い物も済ませてくるクポ」

鞄にちいさな巾着袋を入れて、モグハウスの明かりを落とし、鍵をかけて出て行くモグさん。
少し暗くなった部屋の中で、日記帳からはみ出た白金色のリボンが、窓から差し込む僅かな光を受けて輝くのでした。

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by Rdms_pride | 2007-05-13 14:22 | よしなしごと


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